関係代名詞の「制限用法」と「非制限用法」の違いって?コンマがつく理由とは?

関係詞で非常に多い質問の1つがこちらです。

 

質問者さん
制限用法と非制限用法の違いって何ですか?

 

こう聞かれるとあれもこれもと喋りたくなるのですが、個人的に答えを出すと

 

タカツ
制限用法は関係詞の後ろに何もなく、後ろから訳せるのに対して非制限用法は関係詞の後ろにコンマがつてて前からそのまま訳せるということ。ただし訳す行為は英語学習においてはマイナスなので、知識として持っておくぐらいでいいよ。

 

というふうに答えます。

 

要するに、以下の例文です。

 

参考

【制限用法】
I have three sons who have become doctors.

【非制限用法】
I have three sons, who have become doctors.

 

今回は、”who”などの関係代名詞の直前についているコンマの正体、制限用法と非制限用法の違いについて具体例を示しながら解説していきます。

 

また、関係代名詞や関係副詞などに関する話はこちらの記事にまとめたので、よかったら参考にしてみてください。

 

制限用法の特徴

制限用法とは、前述の通り関係詞の前にコンマがない用法のことです。

 

コンマがない場合は通常通り、”who~”の部分がwho以前にある先行詞に修飾されることから、日本語訳にするときは後ろから訳す』ことになっています。

 

【例1】

Mr. Sato has two sons who are married.

(佐藤氏には、結婚している2人の息子がいる)

 

上の例文を見てもらえば分かる通り、「結婚している」の部分が、「2人の息子」に後ろから修飾されているというわけですね。

 

またこの文章では、「結婚している息子が2人いるということ」が分かるだけであって、他にも3人目、4人目の息子がいるかもしれないというのがポイントです。

 

タカツ
制限用法は後ろから訳すのが基本だけど、もちろんネイティブのアメリカ人が後ろから返り読みしているワケがないんで、前からスラスラ読めるようになるのが最終的目標。

 

合わせて読みたい

前から返り読みしないで読む訓練方法はコチラ↓

英語の音読のやり方を紹介!その脅威的な効果とは!?

 

非制限用法の特徴

非制限用法とは、
制限用法とは逆に関係詞の前に
コンマがついている用法
のことを言います。

 

この時、コンマがついていると少し訳し方が変わってきます。

 

制限用法の場合(つまり関係詞の前にコンマがない場合)は『後ろから訳す』というのが掟だったのですが、

非制限用法(つまり関係詞の前にコンマがある場合)になると、関係詞の前で一旦切断して

 

『前からそのまま訳す』

ことになっているのです。

 

では、先ほどの例文で”who”の直前にコンマがつくとどうなるのでしょうか?

 

【例2】

Mr. Sato has two sons, who are married.

 

whoの直前にコンマがあると、

 

『関係詞の前で一旦切断して訳す』

 

という掟に従って訳すことになるので、

「佐藤氏には2人の息子がいます。
息子たちは結婚しました。」

と訳します。

 

タカツ
ここでもう一度、制限用法で解説した例文の訳を見てみよう。何か違うよね?

 

この時、『制限用法』と違う点は、制限用法では、「結婚している2人の息子がいる」という情報が与えられて、実際「何人息子はいるのか?」という情報はわからないのに対し、

非制限用法では、「息子は2人だけ」とまずわかり、さらに「2人とも全員結婚した」という点です。

 

『制限用法』の訳と見比べてみると、コンマは意味上とても重要だということがわかりますね。

関係代名詞の前にコンマをつける理由

制限用法と非制限用法の違いは、

 

・関係詞の後ろに”,”がなければ後ろから訳す

・コンマがあったら前から訳す

 

と言いましたが、

 

コンマなんてただの『記号』だから、そんな区別はどうでもよくね?

 

と内心思っていませんか?

 

実は、その考え方は間違っています。

 

『コンマ』には、

 

「一瞬の間の置き方」や
「表情・目つき」が大きく変わる性質

 

というのがあるんです。

 

なのでリスニングや英会話の場面ではすごく重要です。

 

聞き取る側は、息継ぎが少しだけ長かったり、関係詞から先で少し表情が変化したりすることで、

 

「コンマがあった!」

と気付かなければいけないのです。

 

タカツ
コンマがあるのとないのとでは、ニュアンスや表情が読み取れるというわけだね。

 

またコンマがあるときは、日本語で

 

「ちなみに…」「付け加えると…」

 

というように、

 

情報を付加するときと同じような
『息継ぎ』・『表情の変化』・
『間の取り方』をします。

 

逆に、『コンマなし』の時は
ほとんど息継ぎもしないで
一気に発音することになっています。

 

例えば先ほどの制限用法の例文で言えば、

「結婚している2人の息子」は完全にひと塊になっているので、息継ぎなしで一気に発音されるのです。

 

非制限用法の使い方

 

制限用法と非制限用法の違いをなんとなく理解できたと思いますので、

具体的に非制限用法って
どういう時に使うのかについて解説します。

 

①先行詞に対して何か追加的な情報を入れる

 

こちらは先ほどの説明の通りですね。

 

非制限用法の基本は先行詞に対して
何か必要な情報を追加したい場合です。

 

例えば、

【例】

The book, which won this year’s Book Prize, is out now in paperback.

(今年の書籍大賞を受賞したその本は、現在ペーパーバックで出回っている)

 

このような英文があった時、The bookが先行詞、which以下の太字部分が非制限用法の関係節となります。

 

あくまでも付け足しの情報なので
非制限用法の太字部分がなくなっていても
意味が通じる文になるのが特徴です。

 

②固有名詞が先行詞の場合に使う

 

2つ目として大事なのは
固有名詞が先行詞の時に
非制限用法が使われるという点です。

 

固有名詞とは主に
国名や人名、
書名やブランド名などの
固有的な名詞のことを言います。

 

例えば、

【例】

Bob, who works for that shop, seems to quit soon.

(ボブはあの店で働いているのだが、もうじき辞めるそうだ。)

 

と言う例文が固有名詞が先行詞となった非制限用法の活用例です。

 

例文ではボブという固有人物の
追加的な情報が太字に記されています。

 

ちなみになぜ固有名詞が非制限用法の先行詞となるのかと言いますと、

固有名詞は限定する役割を
持っていないからです。

 

ボブという人物は、世界に一人の存在と限定できる訳ではないですよね。

 

つまり、限定する役割を持つ制限用法を固有名詞に使うことはできないのです。

 

もし固有名詞に限定用法を用いたい場合は、固有名詞の前にtheをつけてみてください。

(もちろんBobの前にtheを使う用法はないのでtheをつけられる固有名詞のみ制限用法を使います。)

 

例えば、

【例】

The earth which moves around the sun is called a planet.

(太陽の周りを回っている地球は惑星と呼ばれる。)

 

みたいな感じで『地球』にtheをつけた特定のワードに対してwhichの前にコンマをつけず、制限用法を使うことができます。

 

非制限用法の応用例

 

さらに非制限用法には
次のような応用技が存在します。

 

こちらも1つ1つ確認してみると面白いです。

 

①文が非制限用法の先行詞になる場合がある

 

1つ目の応用例は
文自体を先行詞とする場合ですね。

 

例えば、次のような例です。

 

【例】

Logan promised his wife that he had quit drinking, which was a lie.

(ローガンはお酒はやめたと妻に約束した、それは嘘だった)

 

この例文では”Logan promised his wife that he had quit drinking”部分が全て先行詞として働いています。

 

このように文全体を先行詞として活用される場合があるので、覚えておいてください。

 

②継続・経過を表現するのに非制限用法が使われる

 

そして2つ目なのですが、こちらは継続・経過を表現したい時に非制限用法が使われたりします。

 

例文を見て確認しましょう。

 

【例】

We called the owner, who was not at the office at the time.

(私たちはオーナーに電話した、しかし彼はその時事務所にいなかった)

 

この例文では「オーナーに電話した」という動作の後に

「彼はその時事務所にいなかった」

という状況の確認が非制限用法whoの前後で読み取ることができます。

 

この時、whoの前後で物事が経過していることが分かりますよね。

 

これも非制限用法の活用例の1つなので、ぜひ覚えておきましょう。

 

また、このような継続的な用法では関係節部分に話の中心がくるので、一般の非制限用法の副次的な使い方とは真逆の発想で使われます。

 

制限用法と非制限用法を区別する問題例

 

『制限用法』と『非制限用法』についての問題は、空欄補充問題が主流です。

 

今回の話の最後に、1つ軽いトレーニングをして実力を伸ばしていきましょう。

 

問題

次の英文の( )に、
最も適切なものを①〜④から1つ選べ

Alex (  )really likes this town.

選択肢:

①who is from London

②, who is from London

③that is from London

④, that is from London

 

<解説>

この問題は結構有名です。

 

まず、Alex (アレックス)は固有名詞ですね。

 

ここで、

・固有名詞にコンマのない関係代名詞(=制限用法)を続けることは、極めて特殊なケース以外ありえない

 

というルールがあります。

 

ですので、①と③は×になります。

 

なお、『極めて特殊なケース』というのは、

 

例えば”Alex”という名前の男性が今ここに3人存在し、

 

・ロンドン出身
・シドニー出身
・シカゴ出身

 

を区別しなければいけないケースです。

 

文法問題を考える時はこのような『極めて特殊なケース』を考えてもどうしようもないから、①と③は×になります。

 

④については、

 

コンマのある形(=非制限用法)ではthatは使えない

 

というルールがあるので④も×です。消去法で考えると、答えは②となります。

 

答え:

訳:アレックスはロンドン出身だが、
  この街が本当に気に入っている。

 

まとめ

 

今回のポイントをざっとまとめますと、

 

まとめ

・制限用法→後ろから訳す

・非制限用法→前から訳す

 

というところが大事な点です。

 

関係代名詞の直前にコンマがついているかいないかで、意味やニュアンスがかなり変わってきます。

 

日頃からコンマに対する意識を持って、勉強に取り組んでいってください。

 

今回は関係詞をテーマに書いたので、そのテーマに関連した記事を載せておきます。

 

 

是非こちらも学んでいってください。

 

それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

2023.2.11追記:制限用法、非制限用法ともに訳し方にこだわってはならない

 

今回紹介させていただいた制限用法、非制限用法には訳し方に違いがある、ということについて紹介させていただきました。

 

しかし、文法というのは訳しながら理解していくと、最終的にネイティブの思考回路とはどんどんかけ離れた英語の考え方になってしまいます。

 

今回は、高校生や受験生向けに文法の解説を行いましたが、もっと本格的に英語脳を鍛えていきたい人は、なるべく日本語訳に頼らず英語のみで理解する訓練をしていってください。

 

英語のみで英文法を勉強していく方法については、以下の記事を参考にして頂ければ幸いです。

 

 

この記事を機に、文法学習を正しい方向にシフトチェンジしていきましょう。

⚠️注意⚠️

※このブログでは、閲覧者の悩みを優先的に解決するために英文法を日本語で解説していますが、英語を日本語で学ぶことは推奨していません。

詳しくはこちらで解説していますが、ご理解の方よろしくお願い致します。

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最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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